「朝鮮人」、「鮮人」と言う単語が朝鮮人を卑下する俗称の代名詞ということは読者もみな知っている事実だ。
「朝鮮人の分際で」、「朝鮮人は仕方がない。」、「朝鮮人は汚い。」等、日帝時代の朝鮮人を蔑視した表現を列挙すればきりがないだろう。
「ヨボ」という言葉も植民統治時代朝鮮で広く使われた蔑称だ。日帝時代、南山のふもとの憲兵隊官舎に住み、幼稚園、初等学校に通った作家、安岡章太郎は《文芸春秋》1971年1,2月号に韓国旅行記を寄稿し、自身の幼いころの追憶をこのように回顧した。
「道の曲がり角で飴売りのおじいさんが手のひらに唾を吐いていきながら、飴板の上に飴を載せてこね、長く伸ばし、白い粉をかけたはさみでがちゃがちゃその長い飴の棒を角ばった四角に切って行く。
私はその飴を買って食べたかったが、母は一度も許してくれなかった。」どういうことか。
「ヨボ」が唾をつけてこするものを…。
「ヨボ」というのは日本人が朝鮮人を指して呼ぶ俗称だったが、悪い意味ではなく、たぶん母も朝鮮人を卑下する言葉とは知らずに単純に朝鮮人の代名詞と思って使っていた。」
3.1運動を主導した後、日本警察に逮捕されたソンビョンヒ先生も裁判予備審問の時「日本の行政について不満はないが、日本人が朝鮮人を『ヨボ』と呼んで劣等視することは我慢できない。」と陳述したことが知られている。
ヨボの語源は我が国の言葉の「ヨ(여、日本語の音ではヨでも口の開き方が違う;訳者注)ボ」だ。
日本人は「여」の発音ができないので요(ヨ;訳者注)に変形されるのだ。
ところがヨ(요;訳者注)ボを漢字で「餘亡」と表記し、「滅びるだけの民族」と朝鮮人を見下しているので、ヨボ(요보;訳者注)は朝鮮人の代名詞ではなく、朝鮮人を卑下する蔑称の代名詞だったと言える。
日帝時代のヨボという言葉のように、当代の日本人も「ばかチョン」という言葉の語源も知らずに使っている人が多い。
「ばかチョン」というのは1960年代か1970年代に、あるカメラ会社が新製品を宣伝する時に使用した宣伝文句である「バカも朝鮮人も簡単に写せる」と言うところに由来する言葉だ。
その後「ばかチョンカメラ」と言えば、シャッターだけ押せば簡単に写真を写せるという簡単カメラを指して言う代名詞として定着した。
問題は日本人が「ばかチョンカメラ」とか「ばかもチョンもできる」という言葉を今も時々使っているという点だ。
筆者も日常的な会話でそんな表現を使っている日本人と何度か会った。「チョン」が朝鮮人を蔑視する俗称と言う事実を知っていれば、筆者の前でそんな表現を使わないだろうが。
幸い、今は「鮮人」、「ヨボ」、「三国人」、「ばかチョンカメラ」と言う言葉は死語に近い。
朝鮮人という言葉は朝総連系在日同胞や北韓の人達を指す言葉として今も使われているが、韓国人はそのまま「かんこくじん」と呼ぶ。
近頃は、「冬の恋歌」ブームのおかげでかんこくじん(ハングルで日本音表記;訳者注)に「様」異変も起こった。「様」とは我が国の言葉の「(님)ニム」に当たる尊称だ。チュンサン役のペヨンジュンの魅力にどっぷりはまり込んだ女性ファンがぺヨンジュンの「ヨン」の字に様をつけて「ヨン様」と格上げさせたのだ。
日本の女性が敗戦後名前の後ろに「様」をつけてくれた外国人はフランス美男俳優アランドロン、イギリスのサッカー選手デイビッドベッカムに次いでペヨンジュンが3人目だ。最近は「ビョン様(イビョンホン)」、「コン様(コンサンウ)」、「ジウ姫(チェジウ)」のように「様」や「姫」として格上げされて呼ばれる韓流スターたちが急激に増えた。
しかし、「様」という呼称をあまり過大評価してはいけない。
様はホテル、飲食店等で、お客さんを呼ぶありふれた接客用語でもあるからだ。
例えば、飲食店に入れば店員がまず「いらっしゃいませ」と言いながら、すぐ「お客様は何名様ですか?」と聞いてくる。お客様はだれでも「様」だ。
反対に日本の人は日常生活で「なにさま?」という言葉も多く使う。直訳すれば「何する人?」という意向だ。
相手方が偉そうにする時、主に皮肉る意味で使う言葉だ。
「ヨン様」ブームが過ぎればそれに対する反動で「何様」ブーム即ち韓国人を見くびる嫌韓感情に再び火がつく可能性がある。
こんなことを考えれば、筆者は韓流ブームが通り過ぎていった後の逆風が今から気がかりだ。
コメント