日本人と話してみると時々「同じ民族なのになぜ分断されているのか?」「いつ頃統一されるのか?」などの非常識な質問を受ける。
従軍慰安婦問題や独島問題を話して感情が激化すると「統一できないのに」と皮肉る人も多い。
それは、日本人に、韓国分断は日本にも一抹の責任があって、戦争を起こして負けた日本列島が分断されないで韓半島がされたので、韓国人たちは遺憾に思っていると言うと、大部分の人は目を丸くする。
そうしてみると村山富市総理も国会で(1995,1,30、衆議院予算委員会)、「韓半島分割に日本も歴史的責任がある。」と答弁したが自民党の激烈な抗議を受けて一日後には発言を取り消したことがあった。
敗戦50年不戦決意採択を主導した社会党出身の村山総理も韓半島分割について日本の道義的責任を明確にすることができなかったのだ。
半面、日本人は自分たちだけが集まれば、韓国が統一される場合、反日感情に一丸となった人口7千万の大国が玄界灘の対岸に出現することになるので警戒しなければならないとひそひそと話す。
前に話した評論家竹村健一は東京で開かれたあるセミナー(1990,10)で次のように主張した。
「もし、韓国が北韓を統一すれば日本を攻撃するだろう。韓半島の軍事力は南側が50万、北側120万合計1790万だ。
反面日本の戦力は18万に過ぎない。
随って統一韓国が日本を攻撃すれば、日本は10対1の劣勢に追い込まれるだろう。
イラク侵攻を受けたクウェートの運命だ。」
しかし、韓半島が統一されたとしても韓国が170万の軍隊をそのまま維持する財力も、そんな必要性もない。
なぜなら韓半島が統一されれば南北平準化作業に途方もない費用が掛かって170万大軍を養成する余力がないからだ。
アメリカのランド研究所の最近の推計によれば統一費用は最小500億ドルから最大6700億ドル要るという。
随って統一韓国の兵力は自衛隊水準である20万から30万程度が適当だろう。
ランド研究所は170万が40万程度に縮小するだろうと推測している。
また、現代戦は人海戦術で争う戦争ではない。
人口10万の小国スパルタがギリシャ全域を支配できたのは剣や槍で戦った時代の話だ。
人口2億5千万のアメリカ人が今全世界に命令しているのは全世界の戦闘力を圧倒するだけの最先端武器を保有しているからだ。
随って、韓半島が統一されれば即刻日本を攻撃するだろうという右翼の扇動は時代錯誤的な発想だ。
また、流言飛語水準の影響力(세몰이다)だ。
それにも関わらず韓半島が統一される前にあらかじめ「統一韓国危険論」「統一韓国仮想敵国論」を騒ぎ立てることはどのような心づもりがあってそうするのだろう。
即ちこれを憲法改正と軍備拡張に利用しようという目的であろう。
一部右翼勢力たちが主張することは「漢民族の一番切実な夢はただ一度でもいい日本列島を侵略して大和民族を統治してみること」だという。
これは嫌韓派言論人黒田勝弘の持論でもある。
例えば彼は「ワールドカップ共同開催は共催ではなく競催として終わること」だと予測し、「日本と戦争をして必ず一度勝ってみたい。」という韓国の国民性のためにそうだと主張した(《日本の論点97》、文芸春秋)。即ち韓国人の念願は「日本を侵略し、大和民族の姓氏強制的に金李朴等に変え、右翼勢力たちは強制収容所に送って去勢させるということ」だという強引な主張だ。
統一韓国の人口も驚異的な要素だ。
日本列島の人口は百済に援軍を送った7世紀中葉でも5、600万に過ぎない。その後韓半島から渡来人が大量に渡って来て、平安時代末期には1千万を突破した。
明治維新前後には3千万を突破した。
現在の南韓の人口に匹敵する5千万を突破した時は20世紀初めだった。
日本が軍国化に向かって走ったころには8千万を超えた(《人口から読む日本の歴史》)。
単純に計算すれば、統一韓国の人口7千万は明治維新と近代化に成功して韓国を強制的に占有し、中国に侵略した時の日本の人口に相当する。
そのため右翼勢力は「統一韓国」の人口が「軍国日本」の人口に匹敵するようになる点を強調し、将来日本列島を侵略する「ヌクテー(朝鮮狼;訳者注)」にたとえる。
人口7,8千万の国が「冒険心を起こすには」即ち外国を侵略するには好都合の理由も付け加えている。
しかし、歴史的に「ヌクテーの役割」はいつも日本が取っていた。
統一韓国が出現してもまた再び日本がその役を引き受ける可能性が大きい。
防衛庁防衛研究所武貞秀士の《防衛庁教官の北朝鮮深層分析》(NHKベストセラーズ、1998)によれば、統一韓国が取るシナリオ5種類だ。
即ちアメリカとの同盟、中国との同盟、中立宣言、日本との同盟、ロシアとの同盟だ。武貞はこの中で中国との同盟が一番高い可能性があると予測した。
「韓国は歴史的に中国に対して恐怖感が小さい国だ。随って『中国危険論』を主張する人達も比較的少数だ。
また、中国東北部に居住する朝鮮族が北韓の内部混乱と統一後の経済再建に重要な役割をするようになる。
韓半島が統一されれば現在の休戦協定は終了する。
韓米相互防衛条約は休戦体制を補完する意味が強いために必ず解体論が登場する。
日米安全保障条約のように韓米相互防衛条約も決して恒久的なものではない。
中国は韓半島問題をアメリカとの覇権競争という側面で考えている。
そのためにアメリカの影響力が増大する形に韓半島が統一されることを極力反対するだろう。」
ノムヒョン政権の「東北亜均衡論」や武貞の予測のように統一韓国が中国との同盟関係を優先すれば歴史はまた再び100年前に戻る可能性が大きい。
即ち日本人が韓国について日本をねらう短刀、匕首、鎌だと考えている限り、韓国が中国の影響下に置かれているということを放置するはずがない。
また再び以前の交易線、武力威圧線、利益線、生命線、主権線、国防線などあらゆる論理を持ち出して韓国に対する影響力を確保しようとするだろう。
弓のように曲がった日本列島から近世以後(イムジン倭乱、植民統治に続いて)3度目の矢が飛んでくる瞬間だ。
曖昧模糊とした言論人であると同時に右翼思想家であった徳富蘇峰(1863~1957)もかつて「韓半島問題は日本の独立問題」だと主張したことがある。
今の日本の言論界と右翼勢力圏には徳富思想の熱烈な信奉者たちが一斉に立ち上がって「日本の国防線は対馬海峡ではなく、朝鮮半島の港口、即ち釜山港の背後にある。」と騒ぎ立てるだろう。
そうすれば日本国内ではまた再び征韓論が噴出することになる。
「4匹の象の間に挟まっている小さなウサギ」のような立場の韓国はそれではどうすべきか?
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