日本が敗戦する直前、マッカーサー元帥麾下の連合軍は日本占領計画の草案を練るが、超国家主義の象徴である靖国神社を焼却してしまうという計画を立案した。
占領政策を遂行するのに、靖国神社と靖国信仰が大きな躓きの石になるだろうと判断したからだ。
だが、教皇庁駐日代表プルノーピッテル神父がこの知らせを受けて、連合軍総司令部に陳情し、靖国神社焼却計画が中止となった。
敗戦国だといえども死んだ人の霊魂を慰労する慣習を禁止してはいけないという理由からだった。
もしこの時マッカーサーがピッテル神父の陳情を拒絶していたら、靖国参拝問題をめぐる韓中日間の摩擦の火種はその当時に鎮火しただろう。
一瞬の判断の過ちが韓中日間の外交摩擦の火種として生き返っている現実を地下のマッカーサーが知れば、非常に嘆くことだ。
マッカーサーが地下で嘆いていることはもっとある。
彼は日本を占領するとヒロヒト天皇の戦争責任については、一旦免罪符を発給した。
その代わり、二度と再び戦争を起こせないよう、いわゆる「平和憲法」の足かせをはめた。
しかし、現在ブッシュ大統領父子の圧力でマッカーサー元帥の「平和憲法」が「戦争憲法」換骨奪胎(形はそのままで中身がとり替わる)の状態だ。
例を挙げれば、父ブッシュは湾岸戦争が起こると掃海艇(水中地雷を除去する海軍軍艦)を派遣しろと日本に圧力を加え、初めての海外派遣の道を開いた。
息子ブッシュは重武装の自衛隊をイラクに派遣しろと急き立て、自衛隊が国連軍ではなく、多国籍軍としても参加する道を開いた。
「マッカーサー憲法」の骨格である戦争放棄、集団的自衛権の行使禁止、条項がすべて有名無実になったのだ。
そこへ、今後、憲法を全面改定して戦争を遂行する自衛軍や国防軍を持つことになれば、ヒロヒトに発給された免罪符の意味もなくなる。
平和憲法の痕跡が全く見えなくなれば、地下のマッカーサーは何というだろうか?
米占領軍司令部即ち連合軍総司令部(GHQ)の日本占領計画における神社処理問題は非常に重要な項目だった。
米軍は全国の神社を新しい種類に分類し、大部分の神社を村の祭祀を管理する宗教的神社として格下げした。
その内、乃木神社、東郷神社、靖国神社は宗教的施設であるよりは軍国主義の英雄に対する崇拝や伝統的な国民精神を涵養する超国家主義施設だと断定した。
特に米占領軍司令部は陸軍省と海軍省が集団で管理する靖国神社が国家神道それ自体だとし、国家神道特有の宗教意識を除外すれば、宗教施設に相応しくない「超国家主義の前衛」だと規定した。
米軍はこのような判断の下、1945年12月、日本政府に国家神道を廃止し神社に対する支援は今後凍結するよう指示を出した。
これに従い、靖国は東京都に登録された宗教法人として格下げされた。今も靖国神社の法的地位は東京都に登録された一宗教法人である。
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