「短刀と弓」(日韓関係論)翻訳71 11章―⑦衝突の道1ー独島武力侵攻

 2004年5月5日午後1時5分ごろ、日本士道会会員4名が6トン規模の小型船舶を貸し切り運航し、島根県恵曇港を出発した。
隠岐諸島を経由して竹島に上陸するためだ。
日本士道会は出発に先立って「日本古来の民族精神に従って拿捕される危険を顧みず竹島に上陸する。」という声明を発表した。
隠岐諸島から独島までの距離は157キロメートルで6トン級の船舶では3時間余りかかる。

 韓国政府は独島警備隊と海洋警察、海軍艦艇に非常警戒令を出して、これらが独島領海を侵犯する場合、一旦警告放送を通して侵入を遮断するよう指示した。
実際に領海を侵犯すれば船舶を拿捕し乗船者を全員逮捕するという方針も通達した。

 幸い日本右翼が外務省と海上保安庁の説得を受け入れて日本本土に引き返し直接衝突は起こらなかったが、韓国政府はこの事件を教訓にしてその年9月独島防衛と関連した「危機管理標準マニュアル」を作成した。

 島根県の「竹島条例」制定で独島近海の波高が高くなる時、日本が独島海域調査の名目で2隻の測量船を独島周辺海域に派遣しようとした時(2006,5月)、我が政府はこのマニュアルに立脚して即刻20余隻の警備艇、ヘリコプター、哨戒機を動員した大規模な訓練を実施した。

 日本政府が民主党議員の質問書に答弁した内容を見ると(2005,5,17)、現在日本住民26名が「独島」に本籍を置いている。
中国と領有権紛争をしている尖閣諸島には18名、日本最南端に位置する暗礁沖ノ鳥島には122名だ。

 沖ノ鳥島は太平洋に浮かぶ豆粒ほどの1,2個の暗礁だ。
2個の暗礁のうち水面の上に顔を突き出している部分はそれぞれ1メートル90センチメートルに過ぎない。
日本は200海里経済水域を確定する心づもりでなんと285億円をかけて鉄製ブロック9900個を積んでサンゴ礁として形成させた暗礁を無理やり人工島として造成した。

 国際法上日本の領土であることを知らせるため灯台も設置する計画だ。灯台を設置すれば外国の海図にも搭載されるからだ。
また国土交通省はチタンで作った「日本国最南端の島」という標識の杭を2,005年月初めに設置した。
そこに自称「東京都小笠原村沖ノ鳥島1番地」という住所も刻んで入れた。
東京から100キロ、実に52時間ほどかかる豆粒ほどの一つの暗礁を強引に島として造成し、これを既成事実化しようとする恥知らずな行為だ。
その上日本は沖ノ鳥島の面積を人工的に確定するため2006年サンゴ礁増殖のために300万円の予算を策定した。

 この暗礁に東京都の石原知事が電撃上陸するというパフォーマンスを始めた(2005,5,20)。
沖ノ鳥島が行政区域東京都の小笠原諸島に属するという理由からだ。
しかし、石原が始めたパフォーマンスの本当の目的は「排他的経済水域を設定できない岩」だと主張する中国を牽制するためなのだ。 

 石原ら「青嵐会(自民党極右会)」メンバーは中国が尖閣諸島に対して領有権を主張すると関西大学冒険部学生たちを動員して尖閣諸島に小さい灯台を設置したことがあった。
その後「青年社」という極右団体が1996年7月正式な灯台を設置し、日本政府は民間の地主からこの島を買い入れて国有地とする計画だ。

 尖閣諸島と沖ノ鳥島に上陸を断行した石原の次の目標は「竹島」即ち独島だ。
石原が実は運輸大臣時代に「竹島」上陸を決行しようとしたがこれに気づいた竹下総理が緊急閣議を招集して無事だったことがあった。
「竹島」は現在日本の行政区域上島根県に属する。
そのため石原が東京都知事として在任している間には直接行動を起こすのは難しいことだ。
しかし、いつかは必ず何事かしでかすこともある人物だ。

 石原と右翼団体が「特攻隊」を組織し独島に接近し韓国側に拿捕、逮捕されれば、名目として自衛隊を派遣することになる。
日本が独島に侵攻する最初の可能性だ。

 統一韓国が出現する前に韓国と日本が衝突する道はまだある。
40時間を対峙して状況が緩んだ新風号事件の時(2005,6)のように、排他的経済水域侵犯問題を取り囲む心理的争いが衝突に広がる場合、そして独島付近の水域の海流調査を実施しようとする韓国の水路測量観測船を牽制するため日本が海上保安庁巡視船を派遣し偶発的に衝突が起こる場合だ。
偶発的衝突が全面衝突に拡大すれば海上自衛隊がその隙を利用して独島を見くびることがある。
これが2番目の侵攻可能性だ。

 実際に独島近海で衝突が起こればアメリカの態度が重要な鍵だ。
中国人活動家グループが尖閣諸島に上陸を強行した事件が起こると(2004,3)、アメリカ国務省は「尖閣は実際に日本の施政下にあるため日米安保条約の共同防衛条項がこの島にも適用される。」という見解を明らかにした。
中国が万一尖閣諸島に侵攻すれば、アメリカは日本の側に加わるという約束だ。

 リチャード‐アミテージ(Richard L. Armitage)前副長官も日本記者クラブで持たれた会見(2004,2,2)で「日米安全保障条約は日本の『日本の施政下にある領域(administrative territories)』に対する攻撃がある場合、それはアメリカに対する攻撃とみなす」と明らかに表明した。

 スターリンの北海道侵攻の野望を阻止したのはマッカーサー司令部だった。
アメリカは冷戦時にもソ連を牽制できる最前方戦略基地を確保するために日本の背後で北方領土問題をけしかけてきた。
現在も北方領土はロシアを牽制するための重要な戦略拠点だ。
したがって万一北方領土を取り巻く紛争が起こればアメリカは日米安全保障条約の共同防衛条項を適用して日本を支援するだろう。

 半面日本と安保条約を締結しているアメリカは韓国とも相互防衛条約を締結している。随って日韓二国の独島領有権紛争が武力衝突に拡大すれば、アメリカは中立とする道が現在では最善の選択だろう。

 しかし、韓米相互防衛条約が存続する状況でも第3の侵攻可能性を排除してはいけない。
韓半島で再び戦争が起こる場合だ。
自衛隊とか自衛軍はその混乱の隙に乗じて、でなければ我が国に住んでいる日本人を救出するという名目で出動し独島を武力占領する可能性がある。
自衛隊法改定によって自衛隊艦艇はいつでも日本人を救出するという名目で韓国だけでなく世界各地に出動できるからだ。

 そのような目的で導入されたのが「軽空母」と呼ばれる大型輸送艦「おおしま」(8900トン級)だ。
2隻の「準空母型」大型輸送艦(13500トン級)が2008~2009年に追加として導入されれば海外国民救出作戦に投入される自衛隊戦力は飛躍的に強化される。

 4番目の侵攻可能性は日本の文民政権が倒れる場合だ。
これから紹介する水木楊の未来小説にあるように、クーデターが起きて日本で軍事独裁政権が登場する可能性は常に潜在する。
軍事独裁政権は大概内部の不満を外部に出させようとする政策をとって出てくる。
日本の軍事独裁政権も独島武力占拠事態を起こして内部の不満を玄界灘の方面へ回してくるだろう。

 ノムヒョン大統領は2006年6月22日海洋警察幹部たちを青瓦台に呼んで激励し、「日本は我が国より優越した戦力を保有しているが、我々は少なくとも日本が我々を挑発できない程度の国防力を持っている。」と壮語した。
しかし現在日本の海軍力はアメリカ、ロシア、(中国;後日追加された;訳者注)に続いて第4位だ。
自民党防衛族議員たちが「イージス艦『きりしま』(7250t、乗組員約300名、30ノット)1隻だけ独島に送っても韓国海軍の7から8割は水没される。」と豪語しているように、韓国は海軍力で絶対に劣勢だ。

 韓国海軍が2007年に導入する13000トン級大型輸送艦を軽航空母艦(垂直離着陸機、ヘリコプター10機、高速空気浮揚上陸艇2隻、搭載可能)に改造し、2008年から2012年にかけて7000トン級(KDX-3)イージス艦3隻を導入するとしても海軍力の劣勢を覆すことはできない。

 北韓の労働新聞は日本自衛隊が2000年頃硫黄島で秘密裏に「独島接収訓練」を始めたと主張したことがあった。
実際に防衛庁は中国の潜水艦が領海を侵犯した直後「南方離島(僻地島嶼)侵攻対応計画」を立てた(2004,11)。
僻地島嶼奪還作戦の中核部隊は2002年3月に創設した「西部方面隊普通科連隊」というゲリラ戦特殊部隊だ。
現在660名の隊員が長崎県佐世保市相浦基地に駐屯している。

 この特殊部隊は本来尖閣諸島と最南端の暗礁沖ノ鳥島のような南方地域の僻地島嶼(約2500個)が中国の侵攻を受ける場合これを奪還する目的で創設された。
しかし、少しだけ方向を変えれば独島侵攻作戦に即刻投入できる舞台だ。ちなみに西部方面隊普通科連隊は2006年6月6日アメリカ海兵隊上陸訓練を彷彿させる「僻地島嶼海岸上陸訓練」を初めて外部に公開した。
自衛隊用語で北韓と中国の危険を想定した「南西方面対処(X事態対処)」訓練の一環として実施されたこの上陸訓練には5隻のゴムボートが動員され橋頭保構築、上陸地点の掃討作戦、敵陣地奇襲攻撃を終えて帰還する過程が紹介された。
自衛隊は「特定国や地域を対象とした訓練」ではないと主張した。
しかし上陸地点が独島周辺の海流調査を巡る韓日間の摩擦が予想されている時期ということを考えると韓国を牽制するための目的もあることは明らかだ。  

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