「短刀と弓」(日韓関係論)翻訳28 5章―②世襲政治家たちの家系図

 新しい歴史教科書をつくる会を背後で操縦している自民党の「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」(以下「若手議員の会」)は中川昭一農水産相、安倍晋三幹事長などが主軸となってつくった会だ。

 初代会長を務めた中川農水産相の父は中川派閥の領袖だった中川一郎だ。一郎は石原慎太郎(現東京都知事)、渡辺美智雄(前外相兼副総理)等と共に青嵐会を結成して壇上で天皇陛下万歳を叫び血判状を回すほど右翼気質をもった政治家だ。そんな一郎に共和党政権が相当な政治資金を渡していたというから、唖然とする。

 銀行員として勤務していた父一郎が突然自殺すると、昭一は北海道の選挙区を受け継ぎ8選を記録中だ。彼は若手議員の会初代会長として従軍慰安婦記述を削除する運動の先頭に立ってきた。1998年7月小渕内閣の農水産相として任命された直後開かれた記者会見でも「従軍慰安婦の強制連行は事実ではない。」と言い物議を起こしたことがある。

 若手議員の会の幹事を務めた安倍晋三官房長官は外祖父がA級戦犯容疑者だった岸信介前総理だ。
父は総理の席を目の前にして病死した安倍晋太郎前外務長官だ。
安倍は現在各種世論調査で時期総理第一候補と言われている。
安倍については次の節で再度言及する。

 麻生太郎外務長官は外祖父が吉田茂前総理で、父も衆議院議員を務めた。
麻生は2003年2月31日東京大学講演で「創氏改名は、朝鮮人が望んでしたことだ。」と主張し、大きな物議を醸したこともあった。
独島切手発行、独島領有権紛争の時も強硬な発言をしたことで有名だ。

 創氏改名発言で波紋が広がった時、朝日新聞の「窓」というコラムによれば麻生の家系は貝島家、安川家とともに福岡県筑豊炭鉱の「御三家(三つの名門一族)」と呼ばれた。
麻生家は大正時代中頃から多くの朝鮮人労働者を働かせてきた。1932年には麻生家が経営する炭鉱で低賃金と強制解雇に憤激した朝鮮人たちが他の炭鉱で働いていた同胞の支援を受けて2週間にわたりストライキを起こした。

 この地の朝鮮人坑夫達を働かせる朝鮮人頭領たちは宗氏改名がある前から日本式名前で羽振りを利かしてきた。
会社も本人も便利だったからだ。
しかし通称で日本式名前を使うことと皇民化政策で強制的に名前を改名することとは天と地の差だ。
朝日新聞コラムは「自分の選挙区であっても同じ筑豊が背負っている歴史の傷痕を麻生氏はどう思っているのだろうか?」と反問した。

 創氏改名の話が出たので言うのだが、キムヨンサン大統領と済州島で一泊二日の頂上会談を終わらせて開かれた共同記者会見の時(1996,6,23)、「創氏改名が帰国者たちに深い傷を負わせたことは想像するに余りある。」と言って具体的に創氏改名を取り上げて言及し、謝罪した橋本龍太郎(2006年7月死亡)前総理の家系を省略することはできない。

日本で出版された《創氏改名(宮田節子、明石書店、1992)》という本によれば、橋本前総理の外祖父は朝鮮総督府政務総監を務めた大野緑一郎だ。
大野は武力で朝鮮を抑圧しよういういわゆる「武断派」朝鮮総督南次郎の右腕として、内鮮一体を積極的に推進するために創氏改名作業を陣頭指揮した人物だ。
大野の外孫である橋本が外祖父の業績と知らず創氏改名を謝罪したのだから、これもまた見苦しい。

 「日韓併合は円満に締結された」という暴言(1995,6)で「歴史も恥も知らない政治家」(朝日新聞)という免責を受けた渡辺美智雄前副総理兼外相の長男喜美も父の選挙区を受け継いで国会に進出した。
しかし、歴史も恥も知らない政治家がさあ渡辺一人だけだろうか?

 極右政治家石原慎太郎の息子伸晃は32歳の時、東京8区で当選し国土交通相等を歴任した。
父の選挙区(東京4区)を直接受け継いではいないが、父の後光がなければ難しいことだ。
石原の3男宏高も2005年9月総選挙で東京3区に出馬し当選した。
東京に「石原王国」を建設中の石原の家系が支配する日も遠くないという評判だった。

 小泉総理の2次改造内閣の農水産相だった島村宜伸は衆議院に12回ほど当選した島村一郎の6男で中曽根前総理の秘書を経て村山内閣の時文部相として働いたこともあった(1995,9)。
彼は当時「戦後世代が人口の三分の二に増えて戦争を全く知らない世代が主流となっていても昔のことを掘り出して謝罪しろというのはとんでもない話」と暴言した。

 野党議員たちの中にも世襲議員が多い。
民主党の代表的世襲議員は小沢一郎(1947~、岩手4区、13選)現代表だ。
彼は日本大学在学中に父が急死したので27歳で金バッジを付けた。(国会議員になった;訳者注)
自民党幹事長時代にノテウ大統領の訪日を目前に控えて「いつまで身をかがめてお辞儀をしなければならないのか?」といういわゆる「土下座」発言をしたことで有名な人物だ。
彼は《日本改造計画》(講談社、1993)という著書で「日本は絶対に侵略者ではない。」と強く言い、「明治の啓蒙家福沢諭吉も朝鮮改革に支援を惜しまなかった。」と主張した。

 前民主党代表鳩山由紀夫(北海道9区、7選)は公職追放令で政界を追われたことがある鳩山一郎前総理の初孫だ。
父威一郎は外務大臣を務め、弟邦夫(1948~、福岡6区10選)も自民党―民主党―自民党へ政党を変えていきながら、文部大臣を務めた。

 このように世襲議員たちはみな華麗なる一族の出身だ。
再び強調するが、彼らの先祖たちは朝鮮の植民統治、中国侵略と直接もしくは間接的に関連している。
このような世襲議員が政界を動かしている、あるいは動かしていく事実を考えると韓日、中日間の歴史摩擦は未来進行形だ。
日本の歴史歪曲体質ももっと強くなるだろう。

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