ある人はなぜ80年前に起きた朝鮮人虐殺を今更のように悪く言うのかと詰問するかもしれない。
そこには理由がある。
森喜朗前総理が総理職を退任した後、日韓議員連盟会長として推戴されて現在両国政界の架け橋の役割をしている人物だ。
2004年2月相撲競技がソウルと釜山で初めて開催されたとき相撲選手たちを引率して青瓦台を礼訪した人物も森だ。
そんな森がほんの数十年前、何の話をしたかということを明らかにすると、読者は筆者が関東大震災の話をなぜ悪く言うかを察することができるだろう。
森が自民党幹事長だった時の1992年6月。彼は母校の早稲田大学講堂で次のような趣旨の講演を行った。
「横浜のある地域に1500名余りの韓国人労働者が住んでいると言う。彼らの動きをしっかり監視しなければならない。
彼らの多くはベトナム戦争に参戦した者たちなので銃を撃つことに慣れている。
もし彼らが団結すれば軍事行動も可能だ。」
まず横浜の狭い地域に1500名余りの韓国人労働者が住んでいるという話自体が関東大震災の時のような根拠のない流言飛語だ。
家賃が途方もなく高い横浜でどうやって韓国人労働者が集団で居住することができるだろうか?
団結すれば軍事行動もできるという話は朝鮮人が井戸水に毒を溶かし集団で強盗を働くという80年前の発想と同じだ。
こうしてみると森は「関東大震災以後朝鮮人は日本人を信じなくなったが、日本人も朝鮮人を信じない。」というキム・サンの予言が間違っていないことを証明した生き証人だ。
森は総理として在任していた際にも失言を連発し「失言の名手」というニックネームをもらい、結局、それが禍根となって短命総理として終わった人物だ。
一例を紹介すれば、月刊誌《噂の真相》は「森総理が早稲田在学中売春行為をし、売春取締法違反で検挙された経歴がある。」と暴露した。
森側はこの月刊誌を名誉棄損で控訴したが、東京地方裁判所は「検挙経歴についての真意を判断できない。」とし、この部分の賠償責任を棄却した(2001,4,24)。
東京地方裁判所はまた「サメの脳」、「蚤の心臓」という表現についても賠償責任がないという判決を下し、「黒い疑惑の献金を収受した。」、「女性関係が複雑である。」という部分については名誉棄損を認定し、300万円を賠償するよう判決した。
韓国に対して今や過去の出来事をすべて水に流してしまおうと囁いても、振り返れば朝鮮人暴動を絶対に忘れてはいけないと叫ぶ日本の政治家はそもそも森一人だけだろうか?
砂田前防衛庁長官は在任中だった1955年秋に大学生5名(東京大学、慶応大学)と座談の席で「あんなに明白な竹島(独島)を韓国は自分のものだと集団で噛みついてねばっているからあきれたことだ」と舌うちしながら大学生たちに説教した。(《文芸春秋》)
「今大阪の伊丹には自衛隊二個大隊が駐屯している。
しかし大阪には一番危険な外国人が9万5千名ほど住んでいる。この大勢の人たちを二個大隊で守らなければならないのだが、並大抵のことではない難しさだ。
彼らがいつか敵となって私たちを攻撃するかもしれない。
そのような時私たちの父母妻子をだれが助けるのか?
そのために軍備が絶対に必要だ。」
二言する必要なく砂田が言った「一番危険な外国人」というのは大阪地域に居住ずる在日同胞を指しているということだ。
自他が認める極右政治家石原慎太郎も2000年4月9日陸上自衛隊練馬基地で開かれた記念式典で、東京で再び大地震が起きれば、まず「三国人」即ち外国人の暴動を警戒しなければならないと扇動した。
「今日の東京を見ると不正入国した多くの三国人、外国人が凶悪犯罪を起こしている。
大災害が起きれば深刻な騒動事件が起きることがある。
やはり治安維持はみなさん即ち自衛隊の重要な任務として考えてしっかり遂行してくれることを望みます。」
石原が言った「三国人」という第三国人は即ち外国人を卑下する蔑称だ。
サンフランシスコ講和条約が発効された後、日本国籍を焼失した昔の植民地の人たちを指していた言葉だ。
金素雲の《随筆選集4》によればこの蔑称は1970年代のラジオでもよく聞くことができた。
今は死語に近いが、石原が外国人暴動を云々する時わざわざ三国人という蔑称を使う意図は明らかだ。
東京で再び大地震が起きれば、強く警戒しなければならない対象は百万名の在日韓国人、朝鮮人と同じ三国人であり、彼らが暴動を起こし日本人を害するという事実を肝に銘じて忘れないという気持ちからだ。
関東大震災の時、朝鮮人が暴動を起こしたという流言飛語を内務省警務局が捏造したということはだれもがみな知っている事実だ。
また、6300名以上の命を奪い取った阪神大震災の時も外国人暴動は一件も発生しなかった。
むしろ日本人社会と在日同胞社会が手を取り合って再建と復興事業に心を合わせて協力したのではなかったか?
起こってもいなかった、そして起こる確実性もない外国人暴動をしばしば手に負えないという日本の極右支配層がまだ健在していることを知ったら地下のキム・サンは何だって!と嘆いているのではないだろうか?
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